サフォクリニック看護師Tです。
新型コロナウイルスの感染予防のため、需要が高騰しているアルコール消毒液。
一部では品薄状態が続いていて、アルコール消毒液の代用品を探している方も多いのではないでしょうか?
現時点では
🌹アルコール
🌹次亜塩素酸ナトリウム
🌹一部の界面活性剤
🌹熱水(煮沸消毒)
が新型コロナウイルスに有効であると経済産業省から発表されています。
今回はウイルスに有効な消毒について詳しくお話していきたいと思います✨
ウイルスの構造について
消毒の代表格のアルコールが効く・効かないなどの話は聞いたことがある方も多いと思います。
これには各種消毒液に対して耐性の強いウイルスと弱いウイルスがあり、ウイルスの種類が大きく影響しています。
そのウイルスの違いによって効果のある消毒も変わっていきます。
ウイルスには膜の有無でエンベロープウイルスとノンエンベロープウイルスと言われるものに分かれます。
💥エンベローブウイルス(膜あり)
エンベロープはアルコールや石鹸、次亜塩素酸ナトリウム・次亜塩素水で溶解できるので不活化しやすい(抵抗性が弱い)のが特徴です。
ウイルス自体は弱いので、膜さえ壊せば容易に死滅します。
🌸代表的なエンベロープウイルス
インフルエンザウイルス・コロナウイルス・ヘルペスウイルス(口唇ヘルペスなど)・B型やC形肝炎ウイルス・風疹ウイルス・エイズウイルス
💥ノンエンベロープウイルス(膜なし)
ウイルス自体が非常に強いのでダメージを受けにくく、熱に強く、アルコール除菌剤が効きづらいです。
さらに手や食品を介して口から体内に入った場合も、胃酸や胆汁酸にも抵抗力が高いので食中毒を引き起こしてしまうこともある厄介なウイルスです。
🌸代表的なノンエンベロープウイルス
ノロウイルス・アデノウイルス(プール熱)・ヘルパンギーナ・手足口病・A型肝炎・ウイルス・ポリオウイルス
次に、コロナウイルスに有効な消毒について
アルコール
言わずと知れた消毒の代表ですね
コロナ対策に大きく貢献するのがアルコール消毒液です。
手指の衛生管理から室内環境の消毒まで幅広い用途があります。
エタノールやイソプロパノールを含むアルコール消毒液は、細菌・真菌・ウイルスに有効とされています。
例えば速乾性手指消毒薬と言われるスプレータイプのアルコール消毒薬などは手軽に手指の消毒ができることもあり、感染症予防に効果的です。
また、スプレータイプに限らず、液体、ジェルタイプなども製品化されており、手指だけでなく、遊具、家具、室内環境の殺菌にも優れています。
⭐厚生労働省より、コロナウイルスに対して
アルコール濃度70%以上が効果的と言われてますが、60%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると考えられる報告があり、
70%以上のエタノールが入手困難な場合には、60%台のエタノールを使用した消毒も差し支えないとのことです。
アルコールはエンベロープウイルス に有効ですので下記ウイルスに効果があります。
💎新型コロナウイルス
💎インフルエンザウイルス
💎ヘルペスウイルス
💎風疹ウイルス
💎B型やC型肝炎ウイルス
💎エイズウイルス など
・アルコール消毒で手指消毒の方法
1.適量の消毒剤を手のひらに取ります。
2.片方の手の指先と指の腹をよく擦ります。
3.両手のひら全体に、消毒剤をよくすり込みます。
4.両手の甲全体にも消毒剤をすり込みます。
5.両手の指を組み、指の間にもしっかりと消毒剤をすり込みます。
6.片方の手でもう片方の親指を包み込み、両手の親指にもしっかりと消毒剤をすり込みます。
7.両方の手首にまでしっかりと消毒剤をすり込みます。
以上の手順に従って、アルコール消毒液を刷り込んでいきましょう。
アルコール手指消毒剤は、手指全体にササッと行き渡らせるだけでなく、しっかりとすり込むことが大切です。
消毒剤が乾くまですり込むようにしましょう。
手指全体から手首に至るまでまんべんなく行き渡る程度の量を手に取り、使用することが大切です。
⚠️アルコール消毒液使用時には以下の点に注意が必要です
・刺激性があるので傷や手荒れのある手指には使用しない
・引火性があるので台所など火元での使用には特に注意
・ゴム製品、合成樹脂などは変質するのでアルコールに長時間浸さないようにする
以上のことを念頭に適切なアルコール消毒を行っていきたいですね。
次亜塩素酸ナトリウム
次亜塩素酸ナトリウム液は、ハイターの原料である塩素系漂白剤等を希釈して作られたもので、新型コロナウイルスの消毒に使われています。
液性は、非常に強いアルカリ性です。
厚生労働省は、手指に対しては消毒用アルコール、物品・食器・手すり・ドアノブなどの対しては次亜塩素酸ナトリウムの使用が推奨されています。
ご家庭で手作りできるのもポイントですね。
次亜塩素酸ナトリウムはウイルスに効果的です。
💎コロナウイルス
💎インフルエンザウイルス
💎ノロウイルス
💎HIV(エイズ)
💎肝炎ウイルス(A型・B型・C型など)
💎MRSAなど
新型コロナウイルス対策で、調理器具、トイレのドアノブ、便座、衣類等を消毒する場合は、約0.05%の濃度の希釈液を使用します。
(ただし、患者および濃厚接触者が使用したトイレ等は0.1パーセント)
次亜塩素酸ナトリウム液は、正しく使用すれば、殺菌消毒に非常に効果的です。
⭐次亜塩素酸ナトリウム液(希釈)の作り方
厚生労働省や自治体が示している
「次亜塩素酸ナトリウム液の作り方」をご紹介します。
💎0.05%次亜塩素酸ナトリウムの作り方
原液濃度が5%〜6%の塩素系漂白剤を用意します。
500mlのペットボトル1本の水に、5ml(ペットボトルのキャップ1杯)の塩素系漂白剤を入れます。
ペーパータオルなどに十分に薬液を含ませて拭いた後、水拭きをします。直接手に触れないようご注意ください。
💎0.1%次亜塩素酸ナトリウムの作り方
1 原液濃度が5%〜6%の塩素系漂白剤を用意します。
2 500mlの水道水に塩素系漂白剤を10ml(ペットボトルのキャップ2杯分)を入れる。
花王やカネヨ石鹸などメーカー別の作り方は、以下の図を参考にしてください。
(抜粋)(厚生労働省/経済産業省)
⚠️次亜塩素酸ナトリウム液の取り扱いには、十分な注意が必要です
・家庭用手袋等を着用し、直接手で触れないように使用してください
・手指消毒には使用しないでください
・消毒作業以外には使用しないでください
・使用するときは、十分な換気を行ってください
・乳幼児の誤飲に十分注意してください
・他の薬品と混ぜないでください
・金属部位に使用する場合は、劣化する可能性があります
・他の容器に小分けにして使用する際には、十分注意して取り扱ってください
・スプレーボトルでの噴霧は避けてください
・目の中に入った場合は、直ちに水で洗い流してください
・製品に記載してある「使用上の注意」をよく読んで使用してください
・消毒液は保存せずに、その都度作るようにしましょう(時間経過にともなって効果が減っていきます)
⭐名前の似ているもので次亜塩素酸水というものがあります。
名前こそ似ていますが、成分も性質も全く異なる別のものです。
現在『次亜塩素酸水』の新型コロナウイルスに対する効果については、検証試験が継続中です
「次亜塩素酸水」は、塩化ナトリウム水溶液を電気分解するなどして作られたもので、使用用途はスマホの画面・キッチン周り・テーブルなど身の回り品の消毒です。
手指を含む人体への使用については、メーカーなどが提供する情報をよく吟味しすることが重要です。
界面活性剤
界面活性剤と聞くと石けんや洗剤などの成分として使用されていることが第一に思い浮かびますが、
その一部には殺菌、抗菌性能を持つ種類もあることをご存知でしょうか?
界面活性剤は界面(物質の境の面)に作用して、性質を変化させる物質の総称です。
界面活性剤は親水基部分の電気的な性質から大きく 4種類に分類することができます。イオン性( 陰イオン、陽イオン、両性)および非イオン性の4種類に分類されます。
この中の陽イオン界面活性剤はいわゆる逆性石けんと称され、広い分野で殺菌剤として使用されています。
新型コロナウイルスに効果が認められた界面活性剤は現在
下記の7種類が経済産業省から発表されています✨
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
アルキルグリコシド
アルキルアミンオキシド
塩化ベンザルコニウム
塩化ベンゼトニウム
塩化ジアルキルジメチルアンモニウム
ポリオキシエチレンアルキルエーテル
効果が確認された界面活性剤が使われている洗剤のリストを
NITEウェブサイトで公開されていますのでご参考にされてください。
https://www.nite.go.jp/information/osirasedetergentlist.html
製品のラベルなどでも界面活性剤の成分は確認できます。
以上、コロナウイルスに効果的な消毒液を中心にご説明させて頂きました。
それぞれの消毒液に適した使用方法でコロナウイルスを予防していきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました💕
サフォクリニック副院長/美容外科美容皮膚科医
白壁 聖亜
当クリニックの診療は自由診療(保険適応外)となります。