ナースWです。
日増しに暖かくなり、紫外線の増える時期になってきましたね。
以前シミについて記載しましたが、その中で少し紹介したシミ、小じわ治療に用いられる
ハイドロキノン、トレチノインについてより詳しく記載していきます✨
ハイドロキノン、トレチノインはシミ治療に使われていますが、取り扱いが難しいことでも有名です。
まずはハイドロキノン、トレチノインがどういったものか記載していきます。
ハイドロキノンの歴史
ハイドロキノンには還元作用があります。
還元作用については説明すると長くなるのでこの場では省略させて頂きます。
ハイドロキノンは写真の現像などで還元剤として使用され、世界中で利用されてきました。
写真を現像していた人の肌が白くなったことから、ハイドロキノンには美白作用があることが発見されました。
アメリカではシミや色素沈着の治療薬として早くから化粧品に配合され、使用されてきました。
そのためアメリカで美白といえばハイドロキノンクリームが主流です。
近年日本でもハイドロキノンが話題となり、多くの女性に使用されるようになりました。
ただ、ハイドロキノンを塗ったところは、肌が白く色が抜けるということを聞いたことはありますか?
日本では「ハイドロキノンベンジルエーテル」という薬品が以前は使用されていました。
このハイドロキノンベルエーテルを使用した肌の一部が真っ白になる「白斑」という肌トラブルが多発してしまったのです。
厚生労働省がハイドロキノンベンジルエーテルを化粧品へ配合することを規制し、
同時に構造が似ているということでハイドロキノンにも規制がかけられました。
しかし実際のところ、「ハイドロキノンベンジルエーテル」と「ハイドロキノン」は別物です。
この事が正式に判明されるまでの時間がかかった為、日本でのハイドロキノンコスメの歴史は浅くなっているのです。
2001年の薬事法の規制緩和により、これまでは医師の管理下でのみ使用が許可されてきたハイドロキノンは
化粧品にも使用されることが許可されることになりました。
ハイドロキノンの種類について
2001年の薬事法改正により、医療機関でしか手に入れられなかったハイドロキノンクリームを
通販でも手軽に入手することが出来るようになりました!
しかし、注意することもあります。
一般的に化粧品に含まれる純ハイドロキノンは1%から5%くらいまでの濃度がありますが
濃度が高いと効果もでますが、皮膚に刺激があります💦
Hydroquinone
ハイドロキノン
純ハイドロキノン1%~3%
刺激が少なく、一般的に安全性の高い配合濃度といわれていますがその分効果や即効性が低くなると言われています。
肌が弱い人はこの濃度でも肌に刺激を感じる場合がありますので、濃度が低くても注意してください。
純ハイドロキノン4%~5%
1%~3%に比べて濃度が高いため、肌へピリピリとした刺激を感じる場合があります。
肌に合うか必ずパッチテストを行なってから使用することをオススメいたします。
※肌に合わず赤みやかぶれがでた場合は使用を中止し、赤みが長引く場合はお近くの皮膚科を受診してください。
副作用について
ハイドロキノンそのものは非常に不安定な成分なので、使用方法を守らなければ肌トラブルを招く可能性があります。
ハイドロキノンの性質や注意点、副作用などしっかり知って正しくハイドロキノンクリームと付き合いましょう。
①炎症や赤みにもる副作用
ハイドロキノンは非常に強い成分であるため、人によっては肌に合わず、炎症や赤みを起こす場合があります。
使用される際は、必ず事前にパッチテストを行いましょう。
また、炎症や赤みがでてしまった場合は使用を中止し、皮膚科医に診察してもらいましょう。
②6か月以上の長期的な利用による副作用
「長期的な使用」や「高濃度」のハイドロキノンクリームを使用する事により白斑がでる可能性があります。
ハイドロキノンはメラニン色素が作られるメラノサイトそのものの働きを抑制する働きがありますので、
6%以上の高濃度ハイドロキノンの継続使用、
または低濃度でも1年以上長期的に同じポイントに使用する事は控えましょう。
濃度が4%以下のハイドロキノンコスメであれば、一般的な使用状況下で白斑が起こった例は確認されていません。
※ただし、医師によっては1年以上継続しても問題ないと報告している例もありますし
実際に白斑になったという症例はいまだ確認されていません。
ご利用時の注意点
1)日中の紫外線対策
ハイドロキノンクリーム使用時は「日焼け止めなしで海に行くようなもの」なので、紫外線の影響を受けやすい状態となります。
朝使用した場合は、必ず日焼け止めをつけ、極力紫外線から肌を守りましょう。
トレチノインクリームとは
トレチノイン酸(オールトランスレチノイン酸)とはビタミンA(レチノール)の誘導体で
生理活性はビタミンAの約50-100倍であり、ビタミンA類の体内での生理活性の本体そのものです。
50~100倍ってすごいですよね。
このトレチノイン(レチノイン酸)は、誰でも血液中にごく微量流れているため、アレルギー反応を起こすことはありません。
トレチノイン(レチノイン酸)は米国ではしわ・にきびの治療医薬品として、FDAに認可されており、
非常に多くの患者さんに皮膚の若返り薬として使用されています。
日本でも自己調剤で使用されてきましたが、刺激が強く外用後に強いかぶれを起こすことが問題でした。
しかし、シクロデキストリンという環状オリゴ糖で包接したシクロデキストリン包接トレチノイン(CDトレチノイン)が開発され、
従来のかぶれやかさかさを抑制することが可能になりました。
開発してくださった方々、ありがとうございます✨
トレチノインクリームの効果
表皮の細胞は表皮の一番深い層(基底層といいます)で生まれてから、徐々に表面に押し上げられてきて、
やがて角質となり、最後はアカとなって皮膚からはがれていきます。
この表皮の細胞のサイクルを皮膚のターンオーバーと呼び、約4週間かかることが知られています。
多くのシミは、表皮の一番深い層(基底層)周辺にメラニン色素が沈着しています。
この層にはメラノサイトと呼ばれるメラニンを作る細胞があります。
通常市販されている美白剤にはメラノサイトがメラニン色素を作る量を減らす有効成分が含まれてはいますが
その作用が非常に弱く、現在沈着しているメラニン色素を外に出すような作用はありません😭
すでに存在しているシミはなかなかよくなりません💦
そこでトレチノインを使用していきます。
トレチノインには表皮の深い層にあるメラニン色素を外に出す働きがあります。
トレチノインを外用すると、表皮の細胞は活発に増殖して押し上げられていきます。
そのときにメラニン色素も一緒に上がっていき、2~4週間でメラニン色素が外に排出されます。
また、トレチノインを長期間外用すると表皮、真皮を厚くする作用があり、
ヒアルロン酸やコラーゲン産生を促進し、真皮血管の新生により肌の若返りも果たすため、小じわの治療にも使用されます✨
また、高濃度の外用剤ではニキビへの効果も期待できます。
ただし、妊娠中の方、授乳中の方、妊娠予定の方は使用できません。
とても魅力的なハイドロキノンとトレチノインですが、ターンオーバーを促進させる、ということは皮膚がボロボロ剥けていくということです。
また、使用中はとても肌が敏感になるため、紫外線の対策が必須になります。
この紫外線対策を怠ってしまうと、シミ治療をしたつもりが、逆に当たらなシミを生み出すことになってしまいます。
初めて、トレチノイン・ハイドロキノンを使用しようと考えている方は、まずは医師に相談の上使用するのが良いと思います。
看護師Wも使用していますが、肌質改善やシミ治療には効果的だと思う反面、取り扱いが難しいな。とも感じます。
美容クリニックに務める看護師でも取り扱いが難しいと考えるので
個人のインターネットやSNSの情報のみでの使用は控えた方が良いと思います。
たくさんの美肌治療やレーザーが開発され、美容医療も進化していますが
中途半端は知識での取り扱いは大変危険です。
正しい知識、使用法でもっともっとキレイになりましょう。
以上、トレチノイン、ハイドロキノンについてでした✨
サフォクリニック副院長/美容外科美容皮膚科医
白壁 聖亜
当クリニックの診療は自由診療(保険適応外)となります。