本日はしみの原因でもあるメラニンについてです。
メラニンとは🌹
メラノサイトで生成される色素で、メラニン色素とも呼ばれ、肌や髪や目に色を与える成分です。
生まれつき色黒の人は、色白の人に比べて皮膚の中にメラニンが多く存在しています。
メラニンの役割🌹
紫外線は肌が老化する原因のひとつです。
中でもUVA(紫外線A波:生活紫外線)は肌の真皮層まで到達して、エラスチンやコラーゲンに影響を与え
しわやたるみなどの肌トラブルを引き起こすと考えられています。
また、細胞の中にある核が紫外線にあたると核の中にあるDNAが破壊されたり、変異して細胞が死んだり皮膚癌を引き起こしたりします。
それを防ぐために表皮の一番下にある基底層のメラノサイトがメラニン色素を産生し、
それを周囲の表皮角化細胞に供給することで、傘のような役割をし、真皮に紫外線が届かないようにブロックします。
マイナスイメージが強いメラニンですが、紫外線から私たちの体を守ってくれる重要な役割を担っています。
※紫外線の種類
・UVA紫外線A波:生活紫外線:地表に降り注ぐ紫外線の9割。
波長が長く、雲や家の中、窓ガラスも透過して肌に到達する。しみやしわ、たるみにつながりやすい。
・UVB紫外線B波:レジャー紫外線:波長が短く、屋外での日焼けの原因となる。
たくさん浴びてしまうと炎症を起こし、しみにもつながる。
・UVC紫外線C波:オゾン層に吸収されるため地表には届かない。
メラニンの種類🌹
メラニンには、ユーメラニンとフェオメラニンの2種類があり、
ユーメラニンは、褐色~黒色のメラニン、
フェオメラニンは、黄色~赤色のメラニンで、
肌の色も髪の色も、このユーメラニンとフェオメラニンの比率で決まります。
髪の場合、金髪は黄色のフェオメラニン、赤毛は赤色のフェオメラニンにユーメラニンが混ざったものです。
黒髪は、ほとんどがユーメラニンです。
ユーメラニンは、紫外線により発生する活性酸素を消去します。
しかし、フェオメラニンは紫外線を浴びると逆に活性酸素を作ってしまいます。
白人に皮膚癌が多いのはこのことが理由の1つとして挙げられるようです。
一般的にメラニンと呼ばれているものは、ユーメラニンとフェオメラニンの混合体を指します。
メラニン生成のしくみ🌹
①刺激誘因物質がケラチノサイト(角化細胞)を刺激
メラニン生成は表皮にあるケラチノサイトが何らかの刺激を受けることから始まります。
代表的な刺激要因は紫外線ですが、ほかにも摩擦などの外部刺激、
女性ホルモンやストレスなどの内部刺激によってもケラチノサイトは刺激を受けます。
↓
②ケラチノサイトがメラノサイト(色素細胞)を活性化
刺激を受けたケラチノサイトは、その刺激から肌を守ろうとメラニン生成をするように働きかけます。
メラノサイトはメラニンを生成する細胞で表皮の一番下の基底層にあります。
このメラノサイトが活性化されることで、メラニン生成が始まります。
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③チロシンがメラニンに変化
チロシンがメラニン生成酵素チロシナーゼなどの作用により、ドーパ、ドーパキノンとなりやがてメラニンとなります。
これによりメラニンの産生が増加します。
↓
④メラノサイトからケラチノサイトにメラニンが受け渡される
メラノサイト内で生成されたメラニンが、ケラチノサイトに次々受け渡され、
過剰に蓄積するとしみになります。
メラニンは紫外線や様々な刺激から細胞を守るために産生されます。
しかし何らかの原因で過剰に作られたメラニンは、ケラチノサイトに滞留すると色素が沈着し、しみになります。
*ケラチノサイト:表皮の9割を占める細胞のこと。角化細胞とも呼ばれる。
*メラノサイト:表皮の一番下の基底層にあり、メラニン色素を作る細胞。
*チロシン:メラノサイト内にあるアミノ酸。
*チロシナーゼ:酸化酵素、酸化させて黒色メラニンにする。メラニン生成に必要不可欠。
*ドーパ:チロシンがチロシナーゼにより酸化したもの
*ドーパキノン:ドーパがチロシナーゼにより酸化したもの。その後フェオメラニンかユーメラニンへ変換する。
メラニン生成にかかる時間🌹
実際にメラニンが生成されるまでには上記のようにたくさんの工程を踏むことになります。
個人差はありますが、紫外線を浴びてから12~24時間ほどかかり、その後72時間程度までメラニン生成は続きます。
紫外線を浴びた瞬間からメラニン生成が行われるわけではないので、
メラニン生成が始まるまでに適切なケアを行うことが重要になってきます。
メラニン排出のしくみ🌹
不要になったメラニンが肌から排出されるルートは2つ
①ターンオーバー
肌のターンオーバーは約28日間のサイクルで起きています。
表皮の一番下の基底層から新しい細胞が生成され、それが徐々に上へと押し上げられて肌表面に現れます。
それが垢や古い角質として剥がれ落ち、新しい細胞へと入れ替わります。
②マクロファージによる貪食作用
メラニンが真皮に沈むことでマクロファージが貪食作用を発揮します。
しかし、真皮内のメラニンの量が多かったり、皮膚の免疫力が低下し、マクロファージの活動力が弱まることで
貪食作用がうまく行えず、メラニンが残留してしまうことがあります。
お肌の内部では様々な細胞がそれぞれの役割を担ってくれているのですね。
本日はしみの原因メラニンについてでした。
明日はあらゆるしみの種類についてお伝えして参ります。
お読みいただきありがとうございます。
サフォクリニック副院長/美容外科美容皮膚科医
白壁 聖亜
当クリニックの診療は自由診療(保険適応外)となります。