数年前の競泳では水着の素材によりタイムが短縮されるなどのニュースが良く話題になりました。
さて最近の豊胸術のシリコンバッグもかなり進歩しています。
但し競泳用のシリコンバックはさすがにまだ開発されていません。
でもバックが胸に入ると浮力がついてなんとなく早くなるような気がしませんか?
実は少し古い話になりますが、米国のAnthology of Plastic Surgeryと言う本が1986年に発刊されています
この本は形成外科にまつわる歴史や面白い話題が沢山出ています
その中に「豊胸術の副作用」という論文がありました
体育教師で水泳選手の46歳女性が、1980年10月16日に豊胸手術を受けた。
手術は225cc インプラントをそれぞれ両側に挿入し局所麻酔で行った。
手術にもよく耐え、術後の経過も問題なく、現在、被膜拘縮の兆候もない。ブラジャーのサイズは32Aから32Bに増えた。
術後2週間から水泳を再開した。
競技に復帰するための集中的なリコンディショニング・プログラムにもかかわらず、2000ヤード自由形のタイムは42分15秒から53分と遅くなった。
タイムが25%近く遅くなるという問題の深刻さは予想を超えていた。
体重は手術前とほぼ同じ、背泳のタイムは手術前と変わらなかった。
体力は手術前と同じだと感じており、手術後に行った甲状腺機能検査も正常であった。手術には満足していて、タイムが落ちたことを差し引いても余りある結果だと思っている。
タイムが遅れた最もありそうな原因は、豊胸による局所変化と思われる。
流体力学の専門家と真剣に議論した結果、こうした合併症は実際に起こりうる現象で予測可能であると我々は考えた。
(1)バラスト(重し)の増加と
(2)水圧耐性の増加の2つの要因を原因と考えることができる。
450グラムのバラストの影響はわずかだが、大きくなった胸は、海事用語で言うところの船底のキール(竜骨)ではなく、プラウ(船首)としての機能を果たし、海錨が追加され、水に対する体の滑らかな動きが少なくなっているのではないかと思う。
さすがに胸の大きな国の人は日本人と違い考えることが違いますね。
これも医学論文の一つです。
サフォクリニック副院長/美容外科美容皮膚科医
白壁 聖亜
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