何がと言われても、なんとも表現が出来ない絵画でした。
ゲルニカの町をヒットラーが率いるドイツ軍が無差別空爆した、悲惨な状況をピカソがパリ万博のスペイン館正面に張り出すために描いた力作でした。この本をよむことにより大変身近に「ゲルニカ」を感じました。市民や動物が叫び狂う状態をデフォルメした有名な絵です。
私は2年後、1992年ハワイで行われた第21回環太平洋形成外科学会で発表した演題「Deformation its application to cosmetic facial surgery」でまず最初にDeformationの説明にこの「ゲルニカ」の絵を用いました、同時に写楽の浮世絵と仏像を用いました。
写楽、仏像共に顔は大きいが手や胴体がより小さくなっているが顔が強調されバランスはとれている
芸術上のデフォルマシオンの翻訳は「わざと変形して表現し特殊な効果を出すこと」と訳されているが。悪い方に変形、誇張するのではなく良い方にも誇張します。いわゆるバランスの取れた変形と言えます。
この原理を利用して美容外科に用いたのがハワイでの発表の内容でした。
形成外科医、美容外科医が出来る、このDeformationを応用した当時の発表の中の1症例をお見せします。
助手席にて交通事故で顔面外傷を受けた女性です。
フロントガラスで出来た顔面広範囲な傷を形成的にて治療
我々も手品師ではありませんので傷が消えてなくなることはありません。
まず形成外科的な手技を用いて傷をきれいにしていきます1年後にさらに残っている傷を治します 鼻根部の傷
そして残った傷よりもっときれいな何かを顔の中に挿入することで目線をそこに集中させることです。いわゆる視線移動をさせることでほかの傷をぼかします。僅かに鼻筋を通すための隆鼻術を行います上瞼の傷を隠すために奥二重の手術をおこなうことで目が大きくなります
他人の目線を出来る限り最もよく動く目と鼻筋に集中させます
今回の旅行でゲルニカの町を訪問することは出来ませんでしたが、27年ぶりにピカソの「ゲルニカ」を思い出しました。
サフォクリニック副院長/美容外科美容皮膚科医
白壁 聖亜
当クリニックの診療は自由診療(保険適応外)となります。