美容医療の腕は医師の経験によって差がある?
今美容医療に携わっている先生の中には、元々皮膚科の先生だったり、形成外科の先生だったり、麻酔科の先生だったり・・・様々な経歴の先生がいらっしゃいますね。
そうなんです。
ズバリ、お医者さんの経歴って美容医療の腕に関係するのでしょうか?
どの施術を担当されるかにもよりますね。
美容医療の分野はレーザー・ケミカルピーリングなどの軽いものから、骨切り・フェイスリフトといった大掛かりな手術を要する領域まで幅が広いので、経歴に関係するものとあまり関係がないものがあります。
確かに美容医療と言っても幅は広いですよね。
美容医療をシンプルに分類すると、レーザー治療などのメスを入れない美容皮膚科領域と、メスを入れる外科領域と2つに分かれます。
美容皮膚科領域であれば、先生の経歴によって基本的な技術にあまり違いはないですね。
メスを入れない美容医療であれば、大きな違いはないんですね。
外科領域となると、先生の所属や何を専門に経験されてきたかに左右されてきます。
ちなみに、臨床の場でオペを全く経験したことがない先生でも美容外科治療を行うことは可能ではあるのです。
そうなんですね!
骨切りやフェイスリフトなどの大掛かりな美容医療を検討している場合は、先生の経歴やご経験もある程度確認した方が安心ですね。
そうですね。
それ以外にも、患者さんの目指したいゴールへどれだけ近づけることができるか、また良い状態をどれだけキープができるか、美容医療の腕と言っても視点が様々です。
私個人の目線から、経歴によって美容医療の腕に差が出やすいと考えられることについてお話しますね。
形成外科分野を経験された医師の強みについて
ミア先生は形成外科のご出身だと聞きました。
形成外科の先生って何となく信頼できる印象なんですけど・・・他の科と違う点って具体的にはどこにあるのでしょうか?
通常のオペでは自分で切った場所を縫い合わせることが多いのですが、形成外科の場合はケガや火傷をしてしまった傷を元の綺麗な状態に戻すようなオペが多くあります。
複雑な切り方をしてしまった部分の縫合の経験や技術力が他の科の先生とは違う点です。
傷跡を縫うだけでも様々な技術があるのですね。
形成外科であれば、他の科の先生に比べて顔をオペする症例もたくさん行います。
唇であれば特殊な縫い方があったり、縫い合わせる方法も体のパーツごとによって違うんですよ。
腕や足と違って、顔の形って複雑ですもんね・・・。
縫い方以外にも他の科と違うなと思うことはあるのでしょうか?
綺麗に治していく上では、数ヶ月後・数年後のアフターケアまで考えた施術後のリカバリーも大切ですよね。
そのために使う糸や塗る軟膏だったり、オペからオペ後にかけて必要なベースの知識が他の科と違うところかなと思います。
施術をしたあとにお肌のトラブルになることもありますよね。
実は形成外科時代に、他院で美容外科手術をやってもらったら膿んでしまったとか、ケロイドになってしまったなど、思った通りの仕上がりにならなかった部分の修正に患者さんが来られることもありましたよ。
そうなんですね。
メスを入れるような美容外科をお願いする場合は、形成外科の先生だったり、オペ経験の豊富な先生にお願いしたいなと思いました。
美容外科に失敗してしまった時に治せるのは形成外科の経験がある先生、ニキビやレーザー治療の場合であれば皮膚科の専門医の方が強いです。
担当する先生がどこの専門であったか調べておくと良いかもしれませんね。
シミ取りの施術1つとっても医師を見極めましょう
最近は表だって美容皮膚科の院長という肩書きがあっても、実際に施術をするのは違う人だったり、医師ではないビューティアドバイザーが間に入って患者さんとメニューを決め、最後に少しだけドクターから話をするようなクリニックもあると聞きます。
あります!
以前二重の埋没法をカウンセリングしてもらった時にもビューティーアドバイザーさんからメニューを提案されました。
先生とお話できた時間は少しだったと思います。
初診の時間はクリニックによって方針があると思います。
ただよく勘違いされてしまうことがあるのですが、美容医療はエステではなく”治療”行為です。
どんな理由で治療を選択していくかは医師が決めることなので、カウンセリングの時点で確かな医師を選ぶことはとても大切です。
そうですね。
カウンセリングの中で、出来るだけお医者さんに直接話を聞いてもらった方が安心できます。
例えばシミ取り1つにしても、そのシミを正確に診断することができる人でないといけません。
驚かせたいわけではないのですが、稀にシミやほくろの場合、調べてみると実は単なるシミやほくろではなく皮膚ガンだったということもあります。
ちょっとレーザーで消してもらおうと思って見てもらったら、ガンだと言われてしまったら、ショックですね・・・。
シミやほくろの場合、診察時にダーマスコピーという拡大鏡を使ってガンではないか調べることができます。
いきなり美容レーザーを当てるのではなく、初めからこうした技術などを使ってしっかり診察をしてくれるクリニックを選ぶことがベストではあります。
もしくは、こうした原因が想定されたらすぐに保険治療をすすめてくれるクリニックは信頼できますね。
もし、皮膚ガンだと知らずにレーザーを当ててしまった場合はどうなるのでしょうか?
レーザーを当てて見た目が薄くなったとすると、治りづらくなってしまったり、かえって発見が遅れてしまうこともあります。
本当に問題がなければレーザー治療で良いのですが、病気に繋がってしまう可能性がある場合は、美容医療といえど慎重に進めるべきです。
美容医療の知識を日々アップデートしているかも重要です
お医者さんがそれぞれ独立したり、美容医療の現場に立ってからは、先生方はどのように新しい情報を入れたり、勉強されたりするのでしょうか?
それぞれ学会に参加して最新の事例を学んだり、メーカーによる勉強会等で常に新しい情報を仕入れたりしますね。
当院でも定期的に勉強会を開催していて、患者さんへの安全性という観点で新しい素材や技術を検討したりしています。
勉強会も様々あるんですね。
クリニックのホームページではお医者さんが所属している学会情報も目にすることがあるのですが、学会に所属していることもお医者さんを判断する上では必要なのでしょうか?
美容医療の技術は物凄いスピードでアップデートされています。
学会に所属していることは、ある程度目安になると思います。
わかりました。
今後はしっかり確認してみようと思います!
さらに海外の美容外科学会の場合は、形成外科専門医を持っていたり、どなたかの紹介があったりという条件付きで入れるところもあります。
学会によっても敷居の高いところと、低いところがあるのですね。
医師のスキルアップのために、実は経験してきた症例や技術力で勉強出来るレベルが全く違ったりするのです。
学会情報と合わせて先生の経歴を見てみると、先生の専門性が見えてきたり、経験の違いが分かるかもしれませんね。
患者さんに向き合ってくれる医師選びを
最後になりますが、医師を選ぶ際に経歴以外にも大切なことはありますか?
ベースがどこの科であろうと、患者さんの美容医療に貢献するんだ!という情熱です。
確かに、患者目線に立ってくれる先生の方が信頼はできますよね。
私が医師として大切だと感じることは、患者さんを最後まで診る責任感があるかどうかです。
そのために経験を積むことも大切ですが、自分で判断できないことを調べたり、周りに相談することも必要です。
施術して終わりではなくダウンタイムが終わるまでもしっかり見ていただきたいなと思います。
想定外なことがあったとしても、患者さんにとってのベストは何か、施設の中でできることは何かと、あらゆる手段を駆使して1人の患者さんに向き合うこと。
そこの責任が取れないと美容医療はしてはいけないと思いますね。
ミア先生、ありがとうございます。
カウンセリングでしっかり自分と向き合ってくれるかどうかもじっくり確認するようにします!
こちらこそ、患者さんの目指すゴールに向かってオーダーメイドな治療を提供できるよう今後も研鑽していきます。
まとめ
今日は先生のご経験について深く伺わせていただきありがとうございました。
普段聞けないような美容医療の裏話をたくさん聞けた気がします。
今は美容クリニックも増えて、昔よりもかなりライトに受けられるようになっています。
値段や通いやすさも大切ですが、ご自身の唯一無二である大切なお顔や体に行う”治療”のためにも、医師は少し慎重に選んでいただきたいなと思いますね。
記事監修医師プロフィール
サフォクリニック副院長/美容外科美容皮膚科医
白壁 聖亜
経歴
- 2007帝京大学医学部 卒業
- 2010湘南鎌倉総合病院形成美容外科勤務
- 2019シロノクリニック非常勤勤務
- 2020サフォクリニック理事就任
- 2022サフォクリニック副院長就任
所属学会・資格
- 日本形成外科学会専門医
- 日本形成外科学会会員
- 日本美容外科学会(JSAPS)会員
- 国際美容外科学会(ISAPS)会員
- 日本レーザー医学会会員
ミア先生!実は友人から美容医療を始めてみたいけど、どんな先生にお願いしたらいいの?と聞かれました。
先生の経歴は様々だと思うのですが、先生の経歴によって美容医療の腕は変わってしまうのか?ということについて聞きたいです!